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​夏涼しく、冬暖かい不動産を知る、探す、作る
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職場を断熱改修してアプリで測定してみた

電気代が予算の半分近くを占めることで大問題の職場。冬は寒さで研究にも身が入りませんでした。そんなときドイツ視察で断熱の重要性を知り、自分の研究室を断熱改修してみました。もちろん、その結果は、自作のアプリで測定してみましたよ。

自分のマンションの寒さを他人と比較したくなった物理学者が、家の暖かさを簡単に測定できるアプリenemore.comを作ったレポートの三回目です。


enemore.com測定レポート二回目の前回は、自宅のある昭和63年築のマンションの性能指数が26と低いことを報告しました。今回は、2008年くらいに建てられた大学の研究棟です。どれくらいの違いが出るのでしょうか?

予算の半分が電気代に消える研究施設


まずは、職場の紹介です。もともと牧場だった地に建てられた研究棟の周囲は、牧草ロールが作られるような牧歌的な風景が広がります。周囲にビルは少ないため、風が強い日には、行き帰りに吹き飛ばされそうになるのが特徴です。そんな鉄筋コンクリート5階立ての研究棟の4階に職場はあります。コンクリートの壁にアルミサッシの二重窓というごく普通な建物の冷暖房は、全て電気でまかなわれています。そのため、予算の半分くらいが電気代で消えていき、いつも大問題。冷暖房が活躍する夏と冬には、電気使いすぎ警報のメールが頻繁に送られて来ます。私のデスクは窓際にあるので、冬場はいつも冷気を感じて寒い思いをしていました。数年我慢した後、ついに足下に電気ストーブを導入したほどです。これでまた電気代アップ。  


ドイツ訪問で知った高断熱高気密の合理性と経済性

そんな研究生活をしていた2015年、ドイツの自然エネルギー事情を2週間かけて見て回る視察訪問の機会を得ました。研究機関だけでなく、政府機関や環境NPOから民間企業(フォルクスワーゲン、送電会社-50Hz-)と幅広く周り、ドイツの考え方と具体的な行動を見聞きしました。そこで常に語られたのは、合理性と経済性。説明してくれた全ての人が、自然エネルギーへと舵を切るのが当然だと確信していました。自然エネルギーの中には、熱や電気をつくることの他に、エネルギーを使わない省エネも含まれます。省エネと言えば、新しい冷蔵庫やLED電球への買い換えが頭に浮かびますが、ドイツや欧州で重要視されているのは建物の断熱改修。電力よりも暖房としてのエネルギー消費が、総量で大きいからです。ここ10年くらいは断熱改修ブームで、業界は常に予約で一杯だとか。木枠三重窓に300mm断熱へと、どんどん変わっています。法律や条令を上手に使い、高断熱高気密の建築の方が経済的に得になるようにしているのです。

ついに職場の断熱改修に着手


こんな知識をもって迎えた2015年の冬、もう電気ストーブの生活は続けられなくなりました。職場ですぐに出来ることと言えば、窓の断熱性を上げること。樹脂サッシのペアガラス(アルゴンガス入り)を導入しました。

効果はハッキリ!電気ストーブいらずの環境に変わりました。パッと見では違いの分からない窓も、サーモカメラで見ると一目瞭然(下の二枚の写真)。


↑断熱の違いは目に見えぬ。見えぬけれどもあるんだよ。(from金子みすゞ)

↑サーモカメラでみると、見えぬものでも見えるんだよ。


右側の窓の方が断然暖かくなっています。壁よりも窓の温度が高いのは、晴れの日で太陽光が入っているから。それでも左側の窓が寒いのは驚きです。 翌年には他の窓にも樹脂サッシのペアガラスを追加し、職場全体の環境が改善されました。


気になるアプリの評価結果は?


さて、いよいよ性能指数の測定です。そんな職場を評価したアプリの結果は!?


おー、頂きました!100点越え!

樹脂サッシのペアガラスを追加してからは、確かに暖かく感じる空間になっています。

換気は天井の熱交換器を通じて行われ、暖房はガスヒートポンプです。吹き出し口には、空気を拡散させるファンをつけ、断熱改修は完了しました。そんな職場の様子は、こちら。日差しのせいなのか、壁よりも窓の方が暖かい!換気の吹き出し口も冷えておらず、一番冷たい壁だって22℃。なかなか良い状態です。


ドイツ訪問をきっかけに気になり出した断熱気密性能。職場では、ペアガラスの追加が効果絶大であることを実感することができました。そして、そんな感覚的な暖かさを、アプリの性能指数も数値化してくれました。

さてさて、みなさんのお宅や職場はいかがでしょうか?なんか寒くて不快だなーと感じていませんか?まずは、enemore.comアプリを使って性能指数を見てみて頂きたいと思います。そして、断熱気密という北国で特に有効な省エネを進めてみませんか? 

(文章 酒井恭輔)

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