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​夏涼しく、冬暖かい不動産を知る、探す、作る
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目指せ「住みログ」寒さ測定アプリの中間集計



自分のマンションの寒さを他人と比較したくなった物理学者が、家の暖かさを簡単に測定できるアプリenemore.comを作りました。レポートの四回目は、一冬過ぎたアプリの評価結果の中間報告です。


レポート二回目で性能指数が26の自宅マンション、レポート三回目で性能指数が152の職場について報告しました。この他にも、本アプリは様々な人によって多数の物件に対して使って頂きました。皆さま、ありがとうございます!

私が入力したデータの中には、大正以前の建築で性能指数が10をたたき出す文化財的な建物や、札幌の建築士さんがしっかり設計した性能指数120以上の木造住宅などもありました。皆さんはどのような物件を入力されたのでしょうか?

私にその詳細は知るすべがありませんが、いくつか伝え聞く情報から、自信をもって高断熱高気密住宅だと言える物件から、本州の夏をむねとした住宅も含まれるようです。そんな性能指数の統計データ(2017/11~2018/5)をここではご紹介します。


測定した建物の性能指数は二極化


2018年5月5日時点のアプリの結果画面です。縦軸は物件数で、一回の入力で一件が追加されます。横軸は性能指数です。例えば、性能指数144の物件を入力した場合は、横軸が100の黄色い部分に一件追加されることになります。そして、黄色い部分の上にある数字16は、性能指数が100以上の物件はこれまでに16件あったことを示しています。こうして全体を眺めてみると、性能指数の小さな10や20の物件は非常に多く、30から80までは数件程度ずつあり、90から100以上でまた物件数が急増するという結果になっています。これがどういうことか、解析してみましょう。

 まず、性能指数と代表的な物件の関係をおおまかに説明します。性能指数10や20の物件は、昭和初期に建てられたようなものから、二階立て木造賃貸や多くの学生が住む鉄筋コンクリートマンションなどの比較的断熱性の低い物件が該当します。性能指数30から50までは、それなりにしっかり建てられたマンションや本州大手企業が建てた分譲マンションなどであり、60から80までは、北海道向きに断熱性を考え作られた一般向け戸建住宅と想像されます。これらは、アプリを利用して頂いた方々から聞いた範囲での物件情報と性能指数との比較から想像した結果ですので、あくまで目安となります。一方、性能指数90から100以上は、かなり真剣に設計・施工された物件ということになるかと思います。このレベルになると、断熱性だけではなく気密性もしっかりと保たれていると想像されます。その理由は、私の職場で熱交換換気を強く回し、換気量を増加させただけで性能指数が152から100以下へと低下したためです。しっかりとした気密が性能指数100を超える条件のようです。


数は性能の悪い物件が圧倒的に多い


 では、それぞれの性能指数での物件数を見てみましょう。性能指数10から20という物件が圧倒的に多いことが分かります。これが日本(北海道?)の実情なのでしょうか。

「寒くてもたくさん着れば大丈夫」、「使う部屋だけ暖房入れてドアを閉めて我慢する」という伝統的なスタイルが北海道でもまだまだ続いている!?(私の自宅もこんな感じですが…)。寒いお風呂やトイレに行ったときに、温度差で血圧が急に変化し倒れてしまうヒートショックが起こりやすい環境です。これはいけませんねー。

一方、性能指数30から90までの物件と性能指数100以上の超優良物件とを合わせると30件程度になり、性能指数10から20の寒い物件と同じ程度の物件数となることが分かります。快適で暖かい環境を実現する住宅も半分程度はあると言えるのでしょうか(良かった…)。

この一冬にアプリを利用して頂いた方の多くは、高断熱・高気密物件に関わる専門家でした。また、性能指数90から100以上の物件数の中には、お試しで数値を入れてどんな値になるか試したというケースも含まれているようです。と言うことは、実際の統計分布は、もう少し左に寄った形になるかもしれません。ぜひとも、みなさんの活躍で今後の統計分布どんどん右側に寄っていって欲しいと願います。


住まいの「食べログ」=「すみログ」を目指して

 さて、以上が現時点のアプリから分かる内容です。試用された皆さんは、どのような感想を持たれたでしょうか?ぜひ、率直な意見を寄せて頂き、今後のアプリの改善につなげていけたらと考えています。そしてそして、本アプリの次の展開への基礎としたいと思います。現状は、熱性能を簡単に見える化するツールといった感じですが、今後の野望はもっと壮大です。食べログが「消費者の口コミで飲食店の様子をオープンにし、誰でも好みのお店を見つけられるようにした」のと同じように、ememore.comは「住み手の口コミで不動産の実際をオープンにし、自分にあった環境の物件を見つけられるようにしたい!」と考えています。食べログの「星の数」に対応するのが、アプリで分かる「性能指数」です。コアとなる機能は作りました。次は、口コミが表示されるサイトです。一気に進むことは出来ませんが、一歩ずつ“食べログ”ならぬ“住みログ”を作っていけたらとワクワクしています。

(文章 酒井恭輔)

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