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​夏涼しく、冬暖かい不動産を知る、探す、作る
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高断熱暮らしの女性が見つけた「快適と幸せ」

今回は、断熱不動産暮らしの女性同士でゆるゆると語る、断熱不動産の快適さについてです。

札幌市南区で、築4年半になる高断熱高気密住宅に暮らす松田未紘さんのお宅に伺い、私、丸田(築3年の高断熱高気密住宅暮らし)と二人で語ってまいりました。


(上)松田邸。大きな窓には夏の日差しをコントロールする外付け電動ブラインド。

動いているところは、前回記事を参照。


「体が楽!」快適さを発見したきっかけとは。

松田さん、職業は、断熱材であるグラスウールを製造販売する企業にお勤め。高断熱高気密の理論に熟知したプロでも、「これが快適さか!」と改めて気づかされる強烈な体験があったそうです。


(松田)

モデルハウスとかオープンハウスの見学って短時間しか滞在しないじゃないですか。性能の悪い建物でも暖房をガンガン炊いて温めているところもあるので、建物の性能の差って、短時間の見学ではあまり感じられなかったんです。

ところが、約6年前くらいの冬でしょうか。山本亜耕さんが設計した、外壁の断熱材のグラスウールの厚さが300mmの住宅に弊社の商品を採用いただい時、担当者として、オープンハウス期間の丸2日、その家に滞在したことがあったのです。

朝から晩まで長時間滞在すると、その体感の差は圧倒的でした。家の中にひやっと寒いところや暑いところがなく、穏やかな温度に包まれていると、体が疲れが普段と全然違うことに気づいたんです。暖房を強めて得られる温かさとは全然違って、秋とか春とか、快適な中間期の感覚に近い。これが、「快適」ってことなんだ、こんな「快適」って世の中にあるんだな、って感動したんです。

家の中の温度差で、想像以上に疲れることにも気づいたし、むらのない穏やかな熱環境が、こんなに「体に楽で快適」であることを発見した瞬間でした。

その後、自邸を建てることになったとき、あんな「快適な家」がほしい、と思って、山本さんに設計を300mm断熱の家を依頼しました。


室温も、家族も、お金もハッピーな風景を見て価値観が変わった。

(丸田)

私も、「快適」ってすごい、と感じた体験がありました。2012年の冬に、札幌近郊で、すでに人が住まわれている小室雅伸さん設計の高断熱高気密住宅を数件巡ったときです。

家の穏やかな温度環境の体感も圧倒されましたが、その中にいる住まい手さんが、本当に幸せそうで。玄関に入った瞬間、家中が温かいから、真冬でも家中の間仕切りが開いたオープンな状態で暮らしていて、家族も仲良さそうな感じが見えるんです。暖炉もあるんですけど、普段は使ってない。必要に迫られてある暖炉というより、火を楽しむための暖炉がある豊かさ。暖房は、数時間床暖房をつけるだけで、日中は暖房は切っていても室温がキープされている。住み手は、快適な上に、光熱費が安く済んでいて助かるって笑っていました。高断熱高気密って、肉体の快適さだけでなく、家族のコミュニケーション、生活を楽しむ余裕、お金と、様々な面で幸せを提供できるデザインなんだって、実感させられました。

その後、自分もあんなふうに家族と暮らしたいと思い、小室さんの設計を参考に自邸を設計・建築しました。


暮らして発見した新たな価値。快適は健康につながる

(丸田)

高断熱高気密住宅に住んでみると、「快適さ」が「健康」につながっていく感覚を覚えたんです。

最初に気づいたのは、家族の皮膚の状態が良くなったことです。夫と長男が肌が弱くて、特に冬の肌荒れがひどくて、無添加の石鹸を知人にオーダーしていたくらい気を使っていていました。息子のスキンケアを怠ってしまって状態が悪化すると親として申し訳なくて。ところが、いつの間にか、気づけば三個で数百円の石鹸でも平気なくらい、肌が丈夫なっていたんです。入浴後のスキンケアの習慣もなくなりました。あまり暖房を強くしなくても温かいことと、窓の結露がないことなどで必要以上に湿度が下がないせいかなと思っているのですが。

(松田)

私は肌は強い方なので、さほど変化は感じないのですが、夫は肌が弱く全身保湿クリームを使っていたのが、最近はあまり使わなくなった気がします。

(丸田)

次に気づいたのは、3人の子どもたちが風邪をめったにひかなくなったことです。振り返ってみると1年半に1回とか2年に1回とかで体調を崩す、くらいのペースだと気づいて驚きました。

マンション時代は子どもたちも、そこそこ風邪を引いたり吐いたり下痢をしたりして、病院通いや看病でドタバタしていたのに。

今の家に越してから生まれた末っ子は特に体が強く、生後半年から保育園に入っているのですが、全然病気にかからない。1歳を過ぎてやっと突発性発疹で具合が悪くなったときは、嬉々として看病したくらいです。

もはや「こんなに楽させてもらって申し訳ない」くらいの気持ちです。「もしかして、家のおかげだったら、ありがとう」と時々心の中でつぶやいてます。

寒暖差がある時期は体調を崩しやすい、といいますが、家の中の温度が安定しているので、そういう寒暖差で免疫が落ちる機会が少ないのかもしれません。

手足の冷えなんかも、感じることがほとんどなくなりました。冷え性の人には冷え取りソックスよりも断熱不動産をおすすめしたいです。本当に、体への負担が少ないというか、「体が楽」な環境なんですよね。


高断熱高気密住宅は、子育てが楽。

(丸田)

子育ても楽をさせてもらってます。

先程言ったように、子どもたちが健康なのが、最も助かっているところです。その他に、子どもの衣類調整に気を配ることも激減しました。

衣類の選定はほぼ子どもに任せています。子どもに任せるとだいたい薄着になるのですが、体調を崩すこともないし、いいかなと。冬は上下長袖一枚に靴下が基本ですが、着替えごっこの流れで、裸足に下着姿で駆け回っていることもあります。でも、風邪をひくこともないので、好きにさせています。

真夏も、断熱と日射遮蔽でエアコンなしで過ごせる環境なので、家族の体調管理が楽です。

あと、真冬に子どもたちの布団がはだけていても、気にしなくなりました。寝冷えに気をつけていた以前の賃貸住宅と比べ、随分と子育てが雑、いや、楽になりました。

一方で、家が快適だから出不精になるかと思いきや、子どもたちは氷点下でもよく雪遊びをしています。家に帰れば快適という安心感があると、寒さ暑さへの恐怖が薄れるっぽいですね。屋外と室内、2つの環境を楽しむかのように、出たり入ったりを繰り返しながら延々と遊ぶのも興味深いです。



高断熱高気密住宅は、ペットにも優しい。

(上)住宅通のインコちゃん

(松田)

私は、子育てはこれから(9月に第一子誕生予定)ですし、今までは夫婦ともに仕事に忙しく、家にいる時間はあまり多くありませんでした。それでも、この家の快適さは十分感じています。ただ、この家の環境の良さを一番知っているのは、ペットのインコかもしれません。

この家の前の、小さなアパート暮らしの頃から、ずっと、インコを飼っているんです。以前の住まいでは3、4年で、死んでしまう子が多くて。ところが、この家に越した時に生きていた1羽は、もう10歳になるのですが、今だに元気で暮らしてくれています。

また、以前の住まいでは、インコのために、冬は外出するときもずっと暖房をつけっぱなしにしていたんです。光熱費もものすごくかかっていました。この家は、そもそも24時間全館暖房なので、暖房を切るとか切らないとかに悩む必要もなくなりました。それなのに、光熱費は以前より減っています。ペットは、自分の意思で環境を選べないので、1年中快適な家って大事な気がします。


ゆるやかに家族を繋げる開放的な間取り 

「ドア閉めて」戦争とは無縁の世界


(上)玄関からリビングに繋がる階段

(丸田)

松田さんの家は、玄関から2階のリビングへと、間取りが伸びやかにつながっています。うちは平屋で、間仕切りはほとんど開け放っているので、暮らしが水平に伸びている感じです。家中が快適だと、オープンな間取りが可能になりますね。家族が集ったり、離れたりと、活発に家の中を動きながら、居場所や距離感を自由に作り出します。様々な関係や場が生まれている感じがします。

寒い家で育った私には、北海道の玄関や部屋の間に仕切りがない家が、当初信じられませんでした。冬の家というのは、リビングだけが温かくて、あとの部屋は冷え冷えしている。暖房した部屋のドアを締め忘れると「寒い、ドア閉めて!」という喧嘩が起こる。そんな暮らしが当たり前だと思っていたからです。夏は、エアコンのある部屋に集ってじっとやり過ごす感じ。デザインに凝った家でも、快適性がデザインされていないと、一部しか使われないんです。

高断熱高気密という性能は、隅々まで空間を使い切る力を家に与えてくれる気がします。快適な領域が広がると、家が小さくても広く使えるんです。我が家は5人家族で、29坪。十分な広さだと感じています。北海道の高断熱高気密住宅が面積の割に広く感じるのは、隅々まで快適なことを生かして、廊下などを省き、開放的で連続的なデザインが発達してきたからかもしれません。

(松田)

我が家は、延26坪。建坪は、16坪弱ですが、狭さを感じることはありませんね。

たしかに、私の札幌の実家でも、冬はリビングで縮こまるような暮らしをしていました。実家に行くと、夏暑く冬寒い家の暮らしを思い出しますよね。でも、すっかり快適が当たり前になってしまったので、実家に行かないと今の暮らしのありがたさに気づかないくらい、快適が当たり前になりました。


まとめ:欲張りに快適さを求めていったら、幸せと省エネがついてきた

今回、松田さん私が共通していたのは、高断熱高気密に目覚めたきっかけが、数値目標のためでも、地球のためでもなく、「快適な家に住みたい」という自分の欲だったということ。

そして、住んでみると、健康、オープンな家族関係、子育ての負担軽減、小さくても豊かな空間、ペットの幸せ、など、様々な「幸せ」がくっついてきたという話でした。

数値目標とか、環境基準とか、なんかいや、面倒くさい、という住まい手も設計者もまだまだ多いようです。

しかし、そんなものは、欲張りに快適さを目指したら、ついてくる。贅沢は地球の味方。それが、高断熱高気密という技術の面白くも魅力的なところだなと思っています。


参考数値

松田さんのご自宅 Q値1.1W/m2K(0.5回自然換気)C値0.1cm2/m2(完成時)Ua値0.23W/m2K

丸田の自宅    Q値1.2W/m2K(0.5回自然換気)C値0.3cm2/m2(完成時)Ua値0.28W/m2K

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