​夏涼しく、冬暖かい不動産を知る、探す、作る
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引っ越しシーズン到来!快適なお部屋探しは、「中住戸」を狙え

最終更新: 2019年1月12日


あたらしい年が始まりました。

そろそろ春の進学、就職、転勤に向けて、新居探しが忙しくなってくる時期でもあります。

今回は、断熱不動産に限らず、一般的なマンションやアパートなどの集合住宅で、夏涼しく、冬暖かいお部屋を選ぶコツを、図を使いながら説明したいと思います。

このライフハック、冬の寒さのみならず、最近災害級となっている夏の暑さ対策にも有効。さらに残念なことに日本では、南の地方の人ほど、冬、家の中の寒暖差で心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしているという状況もありますので、東西南北日本全国のお部屋探し中の方々に、参考にしていただければと思います。


上下左右の住民が冷暖房を無料で代行。中住戸のご近所さんは神様です。

結論からいいますと、暑さ寒さの軽減には、周りが住戸に囲まれている中住戸が一番おすすめです。夏の暑さ、寒さは、屋外から建物に入ってきます。





ですから、外に面している壁や窓の面積に比例して、寒さ、暑さが侵入しやすいのです。一方、上下左右を他の住戸に囲まれている中住戸は、まわりの住戸が緩衝地帯となって、外の寒さ、暑さから守られています。おまけに、周りの住戸は、その中の住民が快適な室温に保とうと冷暖房を使ってくれるわけです。これは、中住戸の住民からすると、家の外側を他の住民が無料で暖房、冷房してくれているということ。隣家の暖かさ、涼しさが壁を通じてじんわり伝わってくる中住戸のお家は、少ない光熱費で快適な室温を保つことができるのです。

一方、たとえ中住戸であっても、周囲の部屋が空室だったりすると、少し状況が異なります。特に、冬、下の住戸が空室ですと、床面の寒さが気になってしまうかもしれません。

騒音の心配もあるかもしれませんが、冬の快適さを考えれば、周囲の住民は暖かさを分けてくれるありがたい存在です。是非、仲良く共存していきたいものです。


日差しのメリットが、暑さ寒さのデメリットで打ち消されてしまう角住戸。

次は、できれば避けたい住戸について考えみたいと思います。

お部屋探しをする時、角部屋を入居条件にする人も少なくありません。たしかに角部屋は、窓が2方向に取れるため、明るい住戸を作ったり、部屋を多く作れたりするメリットがあります。しかし同時に、外部に接する窓や外壁の広さによる暑さ寒さのデメリットが、日差しのメリットを上回ることも少なくありません。

例えば、冬、窓がたくさんあれば、光をたくさん取り込んで温かそう、という印象を持つこともあるでしょう。しかし、多くの賃貸住宅では、冬の日中、窓から取り込む暖かさよりも、一日を通して窓や外壁から外に逃げてしまう暖かさが上回ってしまうことがほとんど。断熱性能が高い集合住宅であれば、太陽光から取り込む暖かさが、窓や壁から逃げていく暖かさを上回ることも可能です。しかし、今日本に存在する賃貸住宅で、このレベルの断熱性能を見つけるのは相当難しいと考えていいと思います。

当然ながら夏は、窓や外壁が多いことで、外の暑さが多く室内に入ってきてしまいます。つまり、冬も夏も、角住戸は中住戸よりも不快な熱環境になりがちなのです。結果、暖冷房を強めなければ快適さを保てない。光熱費を抑えるために一部屋だけを暖冷房して暮らすようなライフスタイルになってしまえば、せっかく角住戸で部屋数が増えても活用できないことになってしまいます。


快適性ワーストは、角住戸+最上階?角住戸+一階? それとも??

さて、角部屋のなかでも、さらに過酷な環境は、最上階でしょうか。それとも一階でしょうか。

夏を考えるなら、最も過酷な環境は、最上階の角部屋でしょう。屋根面に照りつける日射が、熱となってじわじわと侵入してきます。



(上)最上階角部屋、熱気をあびまくり。


私自身が賃貸マンション最上階に住んでいたときの話ですが、札幌といえども真夏は猛暑日が数日ありまして、そんなときは夜になっても熱くなった天井面からメラメラと熱にあぶられるような感覚を味わいました。(北海道の賃貸はエアコンなしが多いので、お手持ちのエアコンがあれば持参するのをおすすめします)

一方で、冬も屋根面に面しているため、寒さが侵入する外壁面が中住戸より多いことは明らかです。札幌の中古不動産情報を見ていると、最上階の物件をよく見かけます。住んでみたものの手放す人が多いのか、買い手に何らかの知識があって敬遠されているのかもしれません。


角住戸+一階は冬の寒さや湿気が気になる。

一方で、角住戸+一階は、屋根面の代わりに、床面が地面に面しています。中住戸や最上階のように、足の下に人が住んでいて暖房を炊いてくれるわけではありませんので、床面の寒さが気になります。また、一階は地表面に近いため、梅雨時の湿度の高さや風通しの悪さが気になることもあるかもしれません。

私の両親は、埼玉県内の築10年ほどの分譲マンションの一階に住んでいます。比較的仕様のよい中層マンションではあるのですが、一階のせいなのか、冬、両親の家に帰省すると床面を這う冷気にびっくりします。帰省中はほぼホットカーペット上で過ごす北海道暮らしの我が家。また、客用布団を床に敷いて眠ると、床面の冷たさが原因で、布団の下面が湿ってしまいますので、お布団干しがかかせません。


寒冷地で一階よりも嫌煙される、角住戸+車庫直上の住戸

 (上)足元が吹きさらしはきつい。断熱も甘くなりがちな箇所なので注意です。


一階よりも寒さが厳しいと言われ、北海道などで嫌煙されている住戸が、車庫やピロティーなど外部に吹きさらされた場所の直上にある住戸です。地中の温度は、一年の平均温度前後で一年中安定するため、冬、地中温度は外気温度より高くなります。よって、床面が地面に接している一階よりも、車庫やピロティー直上の方が、床表面温度が低くなってしまうのです。外壁の面積は最上階と変わらないのですが、足が接する床面の温度が低いと、人が感じる体感温度は低下するため、最上階よりも体感としては寒く感じるようです。

東北以北に住んでいる人にとっては、このタイプ、角住戸+車庫直上の住戸がワーストワンなのではないかなと思います。是非、北国に引っ越すお知り合いがいましたら、「駐車場の上、ダメ、絶対」と教えてあげると喜ばれるかもしれません。

一方、東北以南で考えると、災害級の暑さや、湿気の方が気になる方もいらっしゃると思います。そういった方には、一階や最上階の方が、車庫直上よりも居住性が悪く感じられるかもしれませんね。


角部屋、最上階、一階、車庫直上。選ぶときは、断熱性能にもこだわりを

とはいえ、お庭があって階段いらずの一階とか、光があふれる角部屋とか、眺めのよい最上階にどうしても住みたい!という人もいると思います。そういう方は、暑い、寒いといったデメリットを打ち消せるだけの高性能を持った断熱性能の高い住戸を選ぶことをおすすめします。住宅性能評価書やBELSなどの認定制度を取得し、断熱性能を可視化している集合住宅もあります。ただし、こういった高性能の集合住宅は分譲マンションが中心となりますので、賃貸で居住する場合は、賃貸に出されている分譲を借りることになり、お家賃も高めになります。また、住宅性能評価書における最高等級の断熱等性能等級4でも、平成28年省エネ基準同等程度なので、さほど高い性能ではありません。うむむ。どうしたものか。。。


全住戸の想定光熱費を見える化した分譲マンションも登場!大手ポータルサイトも目指す「光熱費の見える化」。

三菱地所グループでは、2013年以降、首都圏で発売する新築分譲マンション全物件に、住戸ごとの想定暖冷房費を表示する冊子「マンション家計簿」を配布しているそうです。サービスを運営している株式会社メックエコライフのサイトでは、「マンション家計簿」のサンプルを見ることができるのですが、全住戸の冷房費、暖房費が表示されています。やはり角住戸や最上階は暖冷房費が高く算出されています。

しかしさすが、高級分譲。差があるといっても大した差がないというのは、断熱性能も悪くない証拠でしょう。しかし、サンプル物件ですと、中住戸よりも一階住戸のほうが光熱費が低く算出されているのが興味深いところです。床下の断熱性能の高さや、バルコニーがないため断熱欠損が抑えられているなどの要因があるのかもしれません。詳細が気になるところです。

が、こちらは高級分譲マンションの話。

巷の賃貸住宅の性能では、一階が中住戸より温かい物件はそうそう見つけられないのではないかとも思います。以前ご紹介した、超高断熱アパート「オガールネスト」は、平成28年省エネ基準を40%以上上回る断熱性能を持っていました。このような意欲的な賃貸住宅がどんどん増えるとうれしいのですが。


昨年12月、大手不動産ポータルサイトSUUMOの編集長、池本洋一さんの講演(北大建築学科の授業の一環)を拝聴する機会がありました。

SUUMO利用者へのアンケート結果によれば、建物の断熱性能や住戸内の寒暖差については、物件選びの際は気にする人は少ないものの、居住してから不満に感じるという人の割合が高いそうです。20代の住まい手では3割が、「家の寒さ、暑さが原因で住替えを検討している」と回答しているそうです。

こういった切実なニーズに答えるため、ポータルサイトとしても、賃貸物件の暖かさ、寒さを「見える化」する指標を開発していきたいと抱負を述べておられました。

また、賃貸経営からの視点にも言及されていました。

「三割の住民が現に住替えの検討というアクションを起こすくらいの不満なんです。これは、賃貸物件オーナーにとって、実は大きな経営リスクなんです。」


(上)スーモくんとともに来札した池本編集長


すでに、ヨーロッパでは、エネルギーパスという住宅の燃費評価書を不動産物件情報として表示する制度が整いつつあります。

日本では地方を中心に、空き家率の高さが深刻な状況です。せっかくお家が余っているのですから、快適で光熱費の安いお部屋を賢く選んでいきたいものです。

(文章 丸田絢子)

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