「発掘!断熱不動産」今回は、高断熱高気密住宅(=断熱不動産)に暮らすお母さん二人で、断熱不動産での家事育児について語ります。
ゲストは、「暮らしかた冒険家」伊藤菜衣子さん。2016年に札幌市内の築30年の住宅を高断熱高気密住宅にリノベーション。(2016年リノベーション・オブ・ザ・イヤー< 800万円未満部門 >最優秀賞受賞)
現在は、リノベーションやエコハウスのインフルエンサーとしてもSNSや書籍編集・執筆で幅広く活躍されています。
「こんなに楽なエコハウスでの暮らしがもっと広まって欲しい!」という伊藤さんと私、ズボラ母さんコンビで、断熱不動産が消してくれた名前のない家事についてあれこれ語りたいと思います。

(上)薪ストーブを短時間炊くだけで暖かい、伊藤さんのお家
楽になった「子どもの体調管理」
伊藤:一番楽になったのは、子どもの体調管理かな。風邪をひかないように厚着させて、汗をかいたら汗冷えしないように服を取り替えて、夜は寝冷えしないようにお布団かけてあげて。それに、小さな子でも洋服にこだわりがあったりするじゃないですか。着る着ないで毎朝毎晩20分くらいもめたりする。そういうのも「裸でしばらく好きにしていればいいさ」と思いながら、自分は別の家事をするみたいな風になって、今すぐにやらねばという固定概念と時間と労力を取られなくなったことは、とても大きいです。そして、そんなことに自分のリソースを使っていたんだなぁ、と無意識な名前のない育児の存在に気がつきました。
お母さんにのしかかる看病と罪悪感。体調管理は、より神経質に。
丸田:体調管理って、目に見えないですから、どこまで神経質になるべきなのか、加減がわからないところありますよね。
子どもが病気になると、「あ、昨日、薄着させちゃったかな、寒かったかな」とか自分を反省しちゃいませんか?
子どもの体調管理を日常的に担うのもお母さんが多いですから、病気の罪悪感も抱えやすいのかもしれません。罪悪感を感じた経験から、一層体調管理が神経質になる、というスパイラルで疲弊している人は多いかも。
冬とか、子どもは立て続けに風邪を引いたりしますからきついですよね。
我が家も寒い賃貸暮らしのときは、冬に病気の山場みたいのを何度も経験しました。子どもたちが連続で風邪を引いたりとか。今の家に住み始めてからは、少しづつ風邪を引かなくなって、今では、3人の子どもたちがそれぞれ一年半に一回くらい風邪をひくペースです。病院に行くまでもない軽いものなので、医療費ほとんど使わない。
薄着でも平気な家になったら、ケンカも減った。
伊藤:うちの4歳の息子も風邪やインフルにはほぼかかってないですね。たまに、出張が重なって熱を出すことはありますが、保育園で菌をもらってみたいな病気はしてないなぁ。
体調管理の負担が減ったのと一緒に、子どもに小言を言わなくてすむようになったことが、精神的には大きいです。今の時代、お母さんたちは仕事に家事に忙しい。家族と一緒に過ごす時間だって限られてる。
そんな限られた時間を、「ちゃんと服着なさい」「ドアしめなさい」って家族を怒って過ごすのもったいないじゃないですか。できれば、ニコニコして、一緒にくつろぎたい。
小言を減らす環境として、高断熱高気密住宅ってすごいと思ってます。
子どもが変な格好して走り回ってても、「いいよいいよ、好きにしな~。」って言える余裕が今はできました。
丸田:そうそう、暖冷房の調整とか、ドアの閉め忘れからの喧嘩も、全室温度が一定の家だとなくなりますよね。
洋服、下着、寝具の数、種類が減って物の管理が楽になった。
丸田:室温が安定すると、お布団とか下着類も少なくてすみますよね。収納スペースも小さくなるし、管理や衣替えも楽です。うちは、ヒートテックとか、高機能下着類が殆ど無い。厚手のセーターも着る機会がありません。
お布団も通年用で羽根布団一組だし、毛布は使いません。過乾燥もしないから、加湿器も捨てました。
伊藤:ほんと布団を変えなくていいってすごい楽ですよね。変えないっていう労力以外に、押入れに詰まっている色々の維持管理に時間も体力もつかわなくっていいじゃないですか。
丸田:家の中には、保温とか保湿のための家財が思いの外たくさんあるんですよね。それが、建物の壁の中にすっぽり収まってくれているのでメンテいらずになる。
真冬の外出でも、しっかりとしたダウンジャケットをはおれば、インナーは薄手のセーターで十分暖かい。ダウンの構造って、高断熱高気密住宅にとっても似てるんですよね。
家が、最高の衣類を兼ねてくれる状態でありがたいです。
高断熱高気密は美容にも効果あり?
丸田:そういえば、子どもたちも自分も皮膚のケアがシンプルになりました。乾燥や寒さといった肌に悪い要素が減ったためか、雑なケアでも好調です。あと、女性は冷え性も気になりますよね。
伊藤さんのお友達の中でも、美や健康に意識の高い人たちが、高断熱高気密住宅を熱望しているそうですね。
伊藤:そうなんですよ。体が冷えない家って、血行が良くなる家ってことでもあって、便秘や肩こりや腰痛や肌艶とか、家との関連性を感じていないようなことまで、リンクしてくるんですよね。
お話は、次回に続きます。
次回は、伊藤さんと私が、高断熱住宅にはまったきっかけについて、幼少期の記憶までさかのぼります。
後編→ 「冬暖かい家」に恋い焦がれたきっかけは、幼少期の「暖かくて幸せな家」?!
(文章:丸田絢子)